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一冊だけ読むとすれば、この就活本を勧めたい。

投稿日:2016-10-01 更新日:

就活チャンス―人事が教えない面接の極意

人事や人材業界の経験を活かして就活生にアドバイスする書籍は多い。

「こんな学生はダメ」「こんな学生が優秀だとされている」。生の声をもとにした具体的なケーススタディが、就活のヒントになることも多いだろう。

 

本書「就活チャンス 人事が教えない面接の極意」は、それらの就活本とはすこし毛色が違う。

就活という事象を分析し、その本質、原理原則を解き明かそうとしているのが特徴だ。

いくつか例を挙げてみよう。

 

地頭力の鍛え方

地頭力の鍛え方についての項目には、こんな風に書かれている。

地頭は知的基礎能力と呼ばれ、知識やスキルではなくものごとを発想したり、考えたりする力のことだ。抽象化力、連想力、具体化力、展開力の総称とも言える。具体的なものごとから抽象化し、本質を捉え、そこから連想し、具体化する、具体化したものを展開するの繰り返しだ。

 

まず取り組むべきことは、

  • 興味がある分野の本を何でも読んでみることが大事
  • 質よりも、量をこなすことで見えてくるものがある
  • それは「本には嘘も書かれている」という事実
  • 著者によって主張している内容が正反対のこともある
  • 著者の経営する会社が、後に経営に失敗していることもある
  • 後から検証すると的外れのことを言っている場合もある
  • 量をこなすことでビジネスに絶対的な正解がないことを理解できる

地頭力が必要とされる背景がまさにこれだ。ビジネスシーンで直面することのほとんどが初見であるため、A=Bの単純な暗記力で対応しようとしてもうまく処理できない。

 

だからこそ、過去の経験をもとに、推測も交えながら答えを導き出す「地頭力」が持てはやされている。

  • 著者が伝えたいことの本質を捉え、連想し、自分の経験と当てはめて検証してみる
  • すぐに答えが出ない場合は保留にしておく
  • 先の経験や読書を通じて将来的に、保留にしていた疑問が解消できることがある
  • 保留と解消の繰り返しが、地頭力を育てる

というわけだ。

 

他には、ものごとを数字に置き換える習慣をつけることでも、地頭を鍛えられる。

たとえばアルバイト先の飲食店の売上と利益について考えてみると、良い練習になるだろう。

来店数、平均単価、原価、席の回転数から店の儲けを推測してみるのだ。試してみるとわかるが、時間帯ごとに来店数が違えば客単価も滞在時間もなにもかもが変わってくる。客層も違うかもしれない。

 

いま来ているお客さんの単価をあげるにはどうすれば良いだろうか。

特定の時間帯の客数が少ないので、その時間に客数を増やすためにはどんな手段が考えられるだろうか。

解決策は様々なものが想定される。新メニューの投入かもしれないし、広告宣伝が効果的かもしれない。リピーターへの施策を考えることかもしれない。

アルバイトなんて学生なら誰でもやっている平凡なことだが、ただがむしゃらにこなすのではなく、アイデア一つで立派な地頭のトレーニングになることが示されている。

 

志望動機を素直に答えると落ちる

本書では、出版社の面接で志望動機を聞かれた場合が例に挙げられている。

たとえばこんな志望動機について、どう思うだろうか。

「出版社は世の中の偏在した情報を集め、読者に届けることで様々な文化、ライフスタイルをプロデュースしているからです」。

卒のない回答に思える。

 

しかしこれが典型的な「落ちる志望動機」のパターンなのだという。

なぜなら、この回答は志望動機ではなく出版社の事業説明だからだ。多くの学生は志望動機を聞かれると、素直に志望動機を答える。しかし、その多くは面接官の望む答えとは違っている。

 

面接官は、目の前の学生がどんな人物を知るために質問をしていることを忘れてはいけない。

あなたが、なぜ出版という仕事に興味を持ったのか。語るべきは、あなた自身のルーツだ。

目の前にいる学生は、どんな学生時代をすごした人か、どんな趣味嗜好の持ち主か、どんな価値判断を持った人物か、といった判断の材料になる情報を面接官は知りたがっている。

 

「こんな出版物により影響を受けて、こんなことをした」「こんな情報発信をすることで、こんな体験を得ることができた」。その人ならではの体験を交え、その仕事に興味をもったきっかけを語ることができて初めて、志望動機を語ったといえる。

志望動機を素直に答えて面接に落ちてしまう学生には、相手が意図していることを敏感に察知する力が足りていないのだ。

だから面接に落ちてしまう。

 

社会貢献できる企業を志望する学生が、就活に失敗しやすい理由

社会貢献。

たとえば環境問題や福祉問題を解決する商品やサービスを扱う企業などが一般的だろうか。

この手の業界には立派な企業がある一方で、「環境や福祉といったジャンルが将来有望である」、もっといえば「金儲けになる」と考えて参入してくる企業も数多くあるのが現実だ。

 

そんな理由から、実際に働いてみると、社会貢献より経済合理性を追求する企業だったというケースが後を絶たない。就活生は理想と現実のギャップに苦しみ、早期離職してしまう。参入してくる企業が多いとそのぶん競争が苛烈になり、待遇が劣悪になりやすいことも離職に拍車をかけている。

社会貢献する企業で働こうと思うのであれば、本当に社会貢献を志す企業かどうかの見極めは非常に大事だ。そしてその見極めの力は、就活を通じて企業や人を見る目を養うことで磨かれていく。

 

また、社会貢献ときいて環境ビジネスや医療、福祉という安易な発想に終始してしまう学生の側にも問題はある。

すべての企業は、ある一面では何らかの価値を社会に対して貢献しているともいえる。自分の特性に合っている、あるいは興味を持てる分野で働くことで、形を変えた社会貢献が可能であると知っておくことも就活の成功には重要だ。

 

面接対策や就活塾の効果がないのはなぜか

企業が求める人材とはどんな人材だろうか。

広くいえば「自社に利益をもたらす人材」であることは間違いない。

中途採用であれば、これまでの経験や実績をもとに自社に利益をもたらす人材かどうかを判断できるが、就活の時点ではこれといった判断材料はない。だから就活では、現在の能力ではなく将来的な成長性で学生の合否を判断する。

 

逆にいえば、成長性がなさそうな要素が見受けられる学生は、面接で落とされてしまうことになる。

成長しない学生に共通するのは、たとえばこんな特徴だ。

  • 人の意見や話を聞かない
  • 自分で考えない
  • 知らないことを知っているフリをする
  • 基礎能力の不足(地頭力がない)

残念なことに世の多くの就活生は、知らず知らずのうちにこの要素を面接でアピールしてしまっているのだという。

その元凶となっているのが、面接対策や就活塾で教え込まれる内定獲得ノウハウなのだ。

 

内定獲得のノウハウは、何社も一流企業の内定を獲得するような一握りの優秀な学生の面接でのやりとりを元にしているケースが多い。しかし、企業はあくまでもその学生が持つ経験・考え方・基礎能力を評価しているのであって、面接での表面的な受け答えを評価しているわけではないのだ。

面接対策ノウハウはそのまま真似しても評価されないどころか、かえってネガティブな評価を招く可能性が高い。

 

なぜなら模範解答を意識するあまり、面接官の質問に対してズレた回答をして人の話を聞かない学生だという印象を持たれてしまったり、よく知らないことを知った風に答えてしまったりすることが起きるからだ。

さらにいえば、面接対策通りに答えていることを見抜かれてしまった場合、自分の言葉で話すことができない、自分で考える力がないと判断されるおそれもある。

 

どれもこれも、先に挙げた成長性のない学生の特徴そのままである。

本人に自覚はないかもしれないが、一生懸命に面接対策をしすぎたがゆえに不合格になってしまっている学生がたくさんいるのだ。

 

まとめ

世間では就活についてこう言われているが、それはなぜそうなのか。

本書では、就活に関する思い込みや疑問、悩みに対して、本質や原理原則に立ち返った形で解説されている。

  • 人事が教えない本当の就活対策
  • よくある面接の落ち方
  • 面接13のタブー
  • 面接で評価される能力の磨き方
  • 就活のウソ
  • 就活チャンス編集長が選ぶベスト就活企業

上記のように、全部で6つの章に分かれている。

 

最後のベスト就活企業の項目では、「レバレジーズ」「エイチーム」「日本電産エレシス」の3社で働く社員のインタビュー記事が収録されている。

自分が企業のどういった考え方に共感するのか、どういった風土に馴染めそうなのか、どんな事業に魅力を感じるのか。企業選びの軸を見つけられる貴重な情報となっている。

 

ご覧の通り、最後のインタビュー記事を除いて、個別の企業・個別の業界に対して即効性のあるようなヒントが書かれているわけではない。

就活の本質や原理原則について書かれているため、人によっては一般化されすぎている印象を持つかもしれない。途中、同じことが何度も繰り返し主張されている部分もあり、読みづらさもある。実用性の低い印象を受ける人もいるはずだ。

この本が不人気な理由だろう。

 

しかし、「就活とは何か」「就活のゴールはどこにあるのか」という、原典ともいえる情報にふれられている書籍は貴重だ。本書には、就活生が悩んだときに立ち返ることのできるベーシックな情報が詰まっている。

また、本書は数ある就活本のなかでも極めてフラットな目線で書かれているのが特徴だ。

就活本の類は、筆者の独特過ぎる経歴や思想が、一般の学生には害悪になってしまう場合も多いのだが、本書にその心配はないといえる。

 

上記のような理由から、もしも一冊だけ就活本を読むならば、ぜひ本書をお勧めしたい。もちろん複数冊読む人にとっても、就活の軸となる考え方を得られる役立つ一冊となるはずだ。

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